「注文住宅をスムーズに購入できるように、全体的な流れを詳しく知りたい」という方もいるのではないでしょうか。注文住宅の購入には、予算の検討や土地探し、建築プランの打ち合わせなど、様々な工程が存在します。全体的な購入の流れを把握しておくことで、建築会社や金融機関とのやり取りもスムーズに進められるでしょう。この記事では、注文住宅を購入する流れや、進めるうえでの注意点を解説していますので、住宅を検討する際の参考にしてください。
注文住宅を購入する流れ・進め方9ステップ
注文住宅を購入する流れは、次の9つのステップに分けられます。
手順 |
注文住宅を購入する流れ |
目安の期間 |
1 |
予算を検討する |
1〜3ヶ月 |
2 |
理想のイメージと希望条件を決める |
|
3 |
建築会社を選ぶ(ハウスメーカー・工務店) |
|
4 |
土地を探す(土地を持っていないとき) |
|
5 |
間取りプラン・見積もりを提示してもらう |
|
6 |
工事請負契約(本契約)を締結する |
3〜4ヶ月 |
7 |
全体プランの詳細な打ち合わせをする |
|
8 |
プラン確定後に着工する |
4〜6ヶ月 |
9 |
住宅完成・引き渡しを受ける |
|
予算の検討から住宅完成までは、1年前後の期間がかかるため、入居後の生活から逆算して早めに計画を進めましょう。
各ステップを一つずつ解説していきます。
1:予算を検討する
注文住宅の購入を進める最初のステップが、住宅全体にかけられる予算を検討することです。
注文住宅にかかる費用には、おもに次のような項目があります。
項目 |
内訳 |
土地の購入費用 |
土地取得費、仲介手数料、不動産取得税 など |
建物の建築費用 |
基礎工事、木工事、内外装工事 など |
別途付帯する工事費用 |
外構工事、カーテン工事、地盤改良工事 など |
諸費用 |
登記費用、火災・地震保険料、住宅ローン手数料 など |
これらの費用を把握したうえで、貯蓄から使える自己資金と、住宅ローンを利用して借り入れする資金を検討し、住宅全体にかける予算を決めます。
次のステップで解説する、理想とする住宅をイメージしながら予算を検討しましょう。
2:理想のイメージと希望条件を決める
前のステップで解説した予算の検討を進めつつ、理想の住宅イメージや希望条件をリストアップしましょう。
次のようなポイントから、家族と相談して希望条件を書き出し、住宅と土地の大きさを決めていきます。
条件のポイント |
具体例 |
住みたいエリア |
・通勤や通学のしやすさ ・生活の利便性の良さ |
住宅の外観や内装 |
・自分の好みに合ったデザインやスタイル ・耐久性のある屋根や外壁 |
間取りや部屋の広さ |
・リビングとダイニングが一体となった間取り ・趣味用品や衣類を収納するスペース |
将来的な要望 |
・家族構成の変動を考えた部屋数 ・段差のないバリアフリー住宅 |
土地の広さ |
・数台の車を駐車できるスペース ・子どもが遊べるガーデンスペース
|
ハウスメーカーや工務店のホームページ・SNSから情報収集して、気に入ったものをピックアップすることで、理想の住宅をイメージしやすくなります。
住宅のイメージや希望条件が揃ったら、次の手順に沿って予算総額の再検討をしましょう。
(1)住みたいエリアの坪単価を調べて、土地費用を把握する
(2)注文住宅にかける予算総額を把握する
(3)総額から土地・建物費用を差し引き、諸費用・付帯工事費用を把握する
具体的な予算を決めておくことで、建築会社を選ぶときの基準にもなるため、予算に見合った最適な会社に依頼できます。
3:建築会社を選ぶ(ハウスメーカー・工務店)
続いて、注文住宅の建築を依頼する会社選びのステップです。
注文住宅を建築するおもな会社には、ハウスメーカーと工務店があり、それぞれ次のような特徴があります。
建築会社 |
特徴 |
ハウスメーカー |
・全国展開しており、安定した品質の住宅が建てられる ・住宅価格が高い傾向である ・短い工事期間で建てられる |
工務店 |
・地域密着型で風土を考慮したこだわりの家づくりができる ・住宅価格を安く抑えられる ・工事期間が長くなることがある
|
ハウスメーカーと工務店の特徴を把握したうえで、気に入った会社をピックアップし、予算とのバランスを考えながら選定していきます。
建設会社を選ぶ際は、施工実績やアフターサービス、営業担当者の対応など、トラブルが起きないように事前に確認しておきましょう。
ハウスメーカーと工務店の違いはコチラの記事で解説しています!
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4:土地を探す(土地を持っていないとき)
住宅を建てるための土地を持っていない場合は、希望するエリアの土地を探します。
土地探しは、建築会社を選ぶステップと同時に進めるようにしましょう。
先に土地を購入してしまうと、建物本体にかけられる予算が限られてしまい、希望通りの住宅を建てることが困難になってしまうためです。
土地探しをする際は、次のような点について確認しておきましょう。
- 土地の周辺は住みやすい環境か
- 希望の住宅を建てられる広さであるか
- 電気・ガス・水道が整備されているか
- 地盤は十分な強度があるか
- 自然災害の発生リスクがあるか
一般的に土地探しをする方法は、ハウスメーカーや工務店、不動産会社などがあります。
ハウスメーカーや工務店に土地探しを依頼すれば、住宅のプランニングと一緒に進められるため、希望通りの住宅が建てやすくなります。
5:間取りプラン・見積もりを提示してもらう
気になった会社を数社ピックアップしたら、実際に建築会社に具体的な要望を伝え、プランを作成してもらいます。
作成してもらう資料には、間取りの図面や概算の見積書、資金計画書などが挙げられます。
見積もりを依頼した各社のプランが手元に揃ったら、次のような点を確認して比較し、1社に絞り込みましょう。
- 予算に見合った見積額であるか
- 要望を取り入れた間取り・プランであるか
- 土地と建物の費用バランスが取れているか
見積額だけで判断してしまいがちですが、プランの提案力や対応の誠実さ、アフターサービスなど総合的に判断して、信頼できる会社を決めましょう。
工事請負契約(本契約)を締結する
建築会社を決めたら、プランを再確認して正式に工事を依頼します。
このときに「工事請負契約(本契約)」を結び、建築会社によっては契約金(工事費用の約10%)が必要な場合もあります。
本契約を結ぶ前には、次のようなことが起きる可能性の認識も必要です。
- 不測の事態が発生して、計画通りに工事が進まない場合がある
- 仕様や素材の変更によって、工事費用が変動する場合がある
なお、本契約後のキャンセルにも手付金が発生するため、契約資料を念入りに確認してから、本契約を結ぶようにしましょう。
7:全体プランの詳細な打ち合わせをする
本契約が完了したら、建築会社と全体プランの詳細な打ち合わせを順次進めていきます。
打ち合わせで決めていく内容は次の通りです。
- 間取り
- 素材・設備
- インテリア(壁紙・照明など)
- 住宅ローン・支払いのスケジュール
- 着工日・地鎮祭の日程
この打ち合わせの中で、設備の追加やグレードアップなど本契約から変更になった場合は、あらためて契約を結ぶ必要があります。
ただし間取りの変更などは、建築確認申請(建築会社による申請資料)が再び必要となり、費用やスケジュールに影響が出てしまうため注意しましょう。
8:プラン確定後に着工する
注文住宅のすべての打ち合わせが終了し、プランが確定したら新築工事に着工します。
着工時には依頼した建築会社によって、着工金(工事費用の約30%)の支払いを求められる場合があります。
工事中は騒音や振動が発生するため、着工する前に近隣住民に対して挨拶回りを行い、トラブルにならないような配慮が必要です。
また、着工前に工事の安全祈願として地鎮祭を行いますが、不要な場合は建築会社に相談して事前に決めておきましょう。
建築場所が住んでいるところから近い場合は、工事中に現場に出向いて「設計通りになっているか」「不具合がないか」の確認も大切です。
建築工事が進んできたら、引っ越しの手配や家具・家電の購入など、入居に必要な準備を進めましょう。
9:住宅完成・引き渡しを受ける
すべての工事が終わり、住宅が完成したら建築会社による竣工検査が行われ、その後に施主立ち会いのもと施主検査をします。
施主検査をする際は、次のようなポイントをチェックしましょう。
- 設計図面との整合性について
- ドアや窓の開閉について
- 壁紙や床の傷・汚れの有無について
- 設備のメーカーや品番について
- 給排水の状況について
検査時に傷や汚れ、不具合があれば建築会社の担当者に伝えて、手直しをしてもらいましょう。
施主検査が完了後に住宅の引き渡しとなり、この引き渡し日から建物が登記されて、正式な所有者になります。
住宅ローンを利用している場合は、引き渡し日に融資が実行されるため、残りの工事費用を建築会社に支払いましょう。
以上が、注文住宅を購入する全体的な流れです。
注文住宅の住宅ローン・支払いの流れ
前述した注文住宅の購入の流れに合わせて、工事費用の支払いと住宅ローンの流れを紹介します。一般的に次のような流れで行います。
手順 |
注文住宅を購入する流れ |
支払いの流れ |
住宅ローンの流れ |
1 |
予算を検討する |
|
|
2 |
理想のイメージと希望条件を決める |
|
|
3 |
具体的な予算を再検討する |
|
事前審査(仮審査) |
4 |
建築会社を選ぶ(ハウスメーカー・工務店) |
|
|
5 |
土地を探す(土地を持っていないとき) |
契約時:土地の手付金 引き渡し時:土地代の残金 |
本審査(正式審査) |
6 |
間取りプラン・見積もりを提示してもらう |
|
|
7 |
工事請負契約(本契約)を締結する |
工事の契約金 |
契約の手続き |
8 |
全体のプランの詳細な打ち合わせをする |
|
|
9 |
プラン確定後に着工する |
上棟時:中間金 |
|
10 |
住宅完成・引き渡しを受ける |
|
融資実行(借り入れ) |
住宅ローンの融資実行前に支払いが必要な「土地費用」や「着工金」
※つなぎ融資とは?
住宅完成までに支払う費用が、自己資金でまかなえない場合に借り入れする融資。土地購入費、着工金、中間金などの支払いに利用可能。
工事費用の支払いは、建築会社によって費用の割合やタイミングが異なるため、契約前に支払いスケジュールを確認しておきましょう。
注文住宅の流れ・進め方で注意すべきこと
注文住宅の検討・購入を進める際には、次の4つの注意点があります。
- 余裕のあるスケジュールでプランを立てる
- 相見積もりで自分に合った建築会社を選ぶ
- プラン・費用の細部まで確認して本契約する
- 費用の支払いスケジュールを確認しておく
それぞれの注意点について一つずつ解説していきます。
余裕のあるスケジュールでプランを立てる
注文住宅を建てるには、次のような複数の工程があるため、余裕を持ったスケジュールでプランを立てましょう。
工程 |
目安の期間 |
・予算・資金の計画 ・建築会社 ・土地の選定・見積もりプランの検討 |
1~3ヵ月 |
・工事請負契約 ・詳細プランの打ち合わせ |
3~4ヵ月
|
・工事の着工 住宅完成・引き渡し |
4~6ヵ月
|
注文住宅の検討を開始してから引き渡しを受けるまで、1年程度の長い期間を要するため、入居後の生活を考えて早めの行動を心がけましょう。
相見積もりで自分に合った建築会社を選ぶ
注文住宅を依頼する際は、気に入った会社の中から3〜5社に絞って、相見積もりを行いましょう。
相見積もりをすることで、工事費用の妥当性やプランの提案力の比較ができ、自分の要望に合った会社が選定できます。
建築会社を決める際は、「要望を親身に聞いてくれるか」や「アフターサービスが充実しているか」の考慮も必要です。
しかし、大手ハウスメーカーに直接問い合わせると、予算に合った住宅が建てられない場合もあるため、検討した予算をもとに建築可能な会社を探しましょう。
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プラン・費用の細部まで確認して本契約する
注文住宅の本契約をする前は、「要望が反映されたプランであるか」や「費用が適切に計算されているか」など詳細に確認しましょう。
本契約後に設計ミスがわかり、間取り変更が必要になる場合は、契約や建築確認申請の手戻りが発生し、スケジュールにも大きな影響が出てしまいます。
また、工事の契約は必ず書面で行い、契約後の変更やキャンセルの条件の確認もしておきましょう。
費用の支払いスケジュールを確認しておく
ハウスメーカーや工務店によって、支払いのタイミングや費用の割合が異なるため、契約前に必ず確認しておきましょう。
次の表は、工事費用の支払いタイミングと支払い代金の一例です。
支払いのタイミング |
支払い代金 |
工事請負契約時 |
工事費用の約10% |
着工時 |
工事費用の30% |
上棟時(基本構造の完成時) |
工事費用の約30% |
完成時(引き渡し時) |
工事費用の約30% |
住宅ローンの融資を受ける前の支払いは、「自己資金」か「つなぎ融資」で行う必要があるため、慎重に資金計画を立てましょう。
注文住宅の費用はどのくらい?
実際に、注文住宅にかかる平均的な費用を紹介します。
国土交通省が調査した報告書によると、土地を購入していない場合の注文住宅の費用は次の通りです。
地域 |
延床面積(坪数) |
費用 |
坪単価 |
全国 |
125.9㎡(約38坪) |
3,935万円 |
約104万円 |
三大都市圏 |
134.2㎡(約41坪) |
4,504万円 |
約110万円 |
参考元:国土交通省
令和4年度住宅市場動向調査報告書
次に、注文住宅と土地の両方を購入した場合の費用です。
地域 |
注文住宅+土地の費用 |
全国 |
5,436万円 |
三大都市圏 |
6,787万円 |
参考元:国土交通省
令和4年度住宅市場動向調査報告書
なるべく費用を抑えて注文住宅を建てたい場合は、土地価格が安いエリアを探したり、延床面積が小さい住宅にしたりするなど、工夫した家づくりをしましょう。
注文住宅の流れを把握してスムーズな住まいづくりをしよう
今回の記事では、注文住宅を購入する際の流れについて、9つのステップで詳しく解説してきました。
注文住宅を建てるまでには、土地探しや建築会社の選定、住宅ローンの契約など様々な工程があるため、順序が混同してしまうこともあります。
住宅完成までの全体的な流れを把握することで、見積もりの依頼時期や工事費用の支払いタイミングがわかり、スムーズに計画が進むでしょう。
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