シロアリ防除(駆除/予防)
「家をシロアリから守りたいけど、どうしたらいいかわからない」 「シロアリ予防ができる薬剤はどれを選べばいいの?」 このような悩みを抱えてはいませんか? ご自宅をシロアリから守るためには、日頃から薬剤を使って予防することが重要です。この記事では、シロアリ予防に使う薬剤について解説します。
基本的にシロアリは、土の中ならどこにでもいる生物です。生息地である土の上に木造の家を建てる行為は、見方によってはシロアリの棲み家に餌を提供しているようなものだと言えるかもしれません。したがって、家を建てるときはシロアリ予防が必須なのです。
自宅の壁や庭でシロアリを発見した時点で、あらゆる場所にシロアリが無数に発生していて、家を食われている状態である危険性が高いでしょう。発生してから対処する駆除とは違って、住宅を傷つけられないように保護できる点が、予防を行う大きなメリットです。
以下では、家を守るために行っておきたいシロアリ予防法の基礎知識を解説します。
シロアリの予防をするためには、シロアリが生息するところに薬剤を散布し、家への侵入を防ぐだけではなく寄せつけないようにすることが重要です。戸建住宅でシロアリが生息・発生しやすいのは、以下のような場所です。
トイレ
風呂場
洗面台
キッチン
ウッドデッキ
天井裏や屋根裏
和室の畳や押入れ
上記のような湿気が溜まりやすい場所の床下は、非常にシロアリが集まりやすい傾向にあります。
ただしシロアリが集まりやすい部分のみに薬を散布しても、薬がかかっていない場所を探されて、食べられてしまう危険性が高いです。したがって薬剤を散布するときは、床下全体を処理する必要があります。
シロアリ予防を行うべきなのはどのような家なのでしょうか。シロアリ予防に対して「古くなった木造の家で行うものだ」というイメージを持っている方も多いかもしれません。
たしかに、新築の時点ではシロアリ対策ができている住宅が多いため、シロアリ対策が不要である可能性は高いです。家を建てるときは、建築基準法の第49条で「地面から1m以内の部分には有効な防腐措置とともに、必要に応じてシロアリなどの虫による害を防ぐための措置を講ずること」が定められているためです。
ただし新築時点で散布した予防薬は、一般的に5年程度しか効果が持続しません。つまり新築の家でも、建ててから5年経ったら改めてシロアリ予防をしなくてはいけないのです。
また、鉄筋コンクリート造の家はシロアリと無縁そうに思われますが、断熱材などを食べられるリスクがあるため、木造と同様に予防措置を講じたほうがよいでしょう。
すべての家にとってシロアリ予防は欠かせないことだと言えます。
シロアリ予防の方法は大きく分けると、2種類に分類できます。
薬剤を土壌部や住宅の木材に散布し、シロアリを予防する方法です。発生場所に直接薬剤を散布するため、非常に即効性が高い点が特徴です。
効果が高い一方で散布時に薬剤が広がりやすく、人体やペットに害を及ぼす危険性があります。公益社団法人 日本しろあり対策協会が指定した害の少ない薬剤も存在していますが、残念ながら人間やペットにとって100%安全な薬剤はありません。
小さい子どもがいるご家庭や、ペットがいる場合、アレルギー体質の方がバリア工法でシロアリ対策をするときは、とくに健康被害に注意しましょう。
家の周辺にシロアリの餌となる薬剤を、土またはコンクリート下の土壌に設置する予防法です。シロアリは餌を巣に運ぶ習性があるため、薬剤を持ち帰らせて巣ごと死滅させ、被害を予防できます。
ベイト工法では餌をいったん巣に持ち帰らせるため即効性はありませんが、人やペットだけではなく植物にとっても安全な方法です。ただし効果を持続させるためには、設置した餌の定期的な点検や補充が欠かせません。
一口にシロアリ予防の薬剤といっても、使う薬剤のタイプは4種類に分類できます。ここからは、薬剤の種類や特徴を紹介します。
まず挙げられるのが、木材や基礎部分に直接塗り込むタイプの薬剤です。刷毛を使ってたっぷりと塗布できるため、ウッドデッキや枕木などをしっかりと守りたいときに最適です。
ただし、床下にもぐって塗布することは安全上のリスクがともなうため、一般の方が取り扱うことは難しいかもしれません。ご希望の際は、プロに依頼しましょう。
スプレータイプは、ホームセンターなどでも手軽に購入できるDIYに適した薬剤です。薬剤を霧状にして吹き付けられるため、手の届かない場所の予防にも適しています。
なかには殺虫効果が高い薬剤も販売されており、同時に駆除もできるところが大きなメリットです。
燻煙タイプの薬剤は、煙を発生させて充満させることでシロアリの予防効果を発揮してくれる商品です。床下にもぐれない家の場合は、非常に便利でしょう。換気口などから煙を充満させるだけでいいので、手軽な点が大きなメリットです。
ただし効果が長時間持続しない点と、木材や土の中に隠れているシロアリには効果がない点に注意しましょう。
食毒タイプは、ベイト工法で使う薬剤です。シロアリは餌を巣に持ち帰る習性があるため、食毒タイプの薬剤であれば巣ごと駆除が可能です。
先述したとおり即効性はありませんが、安全性が高くて手軽なためDIYにも適しています。
ここでは、薬剤でシロアリ予防をするときの注意点を解説します。
基本的に市販の薬剤は安全面を重視しているため、プロが使う業務用の薬剤と比べると効果が弱めに調整されています。したがってDIYだと、思うような効果が得られない可能性があります。
また一般の方が施工すると、薬剤の塗布にムラができたり適切な位置に薬剤を設置できなかったりするリスクが高いです。確実な効果を期待するのなら、専門業者に依頼したほうがよいでしょう。
プロ以外が床下にもぐると、水道管やガス管を傷めてしまう危険性があります。さらに、床下にはガレキなどがそのまま放置されていることもあるため、ガレキや飛び出た釘に触れて大怪我をしてしまう危険性もあります。
以上の理由から、一般の方が床下にもぐることはあまりおすすめできない行為です。どうしてもDIYをしたいときは、家への影響や怪我に十分注意して作業を行ってください。
シロアリは家の木材以外にも、ダンボールや発泡スチロール、衣類や皮革などを餌とします。こういったものが家の周辺に置かれているときはできるだけ片付け、移動できないものには念入りに薬剤をかけておくようにしましょう。
また、シロアリは湿度が高いジメッとした場所を好むため、家の周囲は日当たり・風通しをよくしておくと予防効果が得られます。
薬剤を使わずにシロアリ対策をしたい場合は、シナモンが効果的です。ただし、床下に大量のシナモンを散布することは難しいですし、効果も持続しにくいためあまり現実的ではないでしょう。
しっかりとシロアリ予防をしたいなら、やはり薬剤の使用と家の周りの日当たり・風通しをよくすることが効果的です。
シロアリ予防ができる薬剤は、大きく分けて4つのタイプに分類できます。それぞれの薬剤は使い方や効果が異なるため、ご希望の効果や使いやすさに合わせて最適なものを選んでいきましょう。
近年はDIYでシロアリ予防ができる薬剤も増えてきましたが、専門知識のない方では効果が半減したり怪我をしたりする危険性があります。より効果を得たい方は、ぜひ専門業者に一度ご相談ください。